午前中に降り始めた雨が一日降っていました。
今日は、校内に飾られている1幅の肖像画の話をしたいと思います。
上田高校の正面玄関はいつもきれいに整えられています。

右に見事な紫陽花が見えます。
玄関を上がり、事務室、校長室を左に見て中に進むと、正面に肖像画が大きくなります。

1900年からおよそ15年にわたって初代校長を務めた、宮本右次先生です。

この絵が学校に届くまでの話を、本校の教頭をしていた先生から伺う機会が過日ありました。
2009年10月、同窓生から学校に1本の電話が入ります。
宮本右次先生の生家が取り壊されるにあたり、先生の肖像画をご親族から預かっているので、学校で保管できないかとのこと。
長年校長を務めていた先生でしたが、脳溢血で倒れ、やむなくその職を辞すこととなります。
宮本校長の退任式兼後任校長の着任式の後、先生を慕う卒業生たちが、同じく同窓生の手による肖像画を記念品として先生のご自宅に届けました。
同窓生から肖像画の電話が学校にあった日は、宮本校長先生が1世紀近い時を経て再び学校に戻ることになる感慨深い日だったと、元教頭先生は語ります。
その時点では、肖像画をどうするかという話はまとまっていなかったと言いますが、その後、正面玄関のこの位置に飾ることが決まりました。
この絵にはこんな秘話があったのだと知りました。
肖像画の下にはこのような説明板が貼られています。

その前のテーブルでは、ここまでの経緯を知ってか知らずか、放送室がすぐそこということもあって、いつものように今日も遅くまで放送班が活動をしています。
その中には、水曜日のこのブログで触れた、「開かれた校長室」を題材にアナウンス部門で全国大会に出場する生徒が、パソコンの前で集中して作業をしていました。
近づくと、「…という貼り紙が校長室の前に…」と言っている声が聞こえます。
それをやっているのか…と思いつつ、「がんばれよ」と声を掛けると、「はい!ありがとうございます!がんばります!」という爽やかな返事が返ってきました。