今日は、全国高等学校長協会の理事会があり、一旦学校に行った後、新宿に出掛けました。

この時期の理事会は、今年1年間の総括と、次年度の計画を審議するためのもので、全国から100人規模の校長さんたちが集まっていましたが、そんな中、一番印象に残ったのは、現在大きく動いている国の教育施策の検討と、それに対する校長会のスタンスに関する議論でした。
全国の校長会長さんが言っていた「どのような改革であれ、高校が本来果たすべき役割に悪い影響があるようなものは、いい改革とは言えない」「これからも高校が果たすべき役割はしっかり果たして行く」という言葉に大いに共感を持ちました。
さて、今日上田高校では、フィリピン大学レイテ分校に研修交流派遣された、佐久総合病院の医療チーム3名(医師、助産師、理学療法士)が本校に来てくれました。
少し前に佐久総合病院で発表会があった際に、その参加についてSGH係が問い合わせをしたところ、発表会は医学的で専門的な会なので高校生には向かない、我々が出掛けて行きます、との回答を得て、今日の会が開かれることになったのです。


とてもありがたい話です。
医学部を目指す生徒や国際交流に興味のある生徒などが参加しました。
私は、SGHに向き合う中で、高校生の「強い学び」ということを考えるようになりました。
人の学びには「強さ」の強弱があるような気がしています。
大学まではともかく、教員になってから成長する人というのは、自分の力を付けたいとだけ考える人というよりは、生徒をなんとかしたいと願って必死に学ぶ人の方が何倍も伸びるという確信をずっと持っていたのですが、上田高校に来てから同じようなことを生徒にも感じ始めていて、それを表すのに「強い学び」という言葉がしっくりするように思い始めました。
レイテ島は台風などの自然災害の影響もあって、とても貧しい地域です。
医療従事者も決定的に不足しています。
住民は大したケアも受けられず、次々と命を落としていくそうです。
そんな中、医療を目指す人たちは、自分が技術を1つ身に付ける度に人の命が1つ救えるという強いモチベーションを持って医療を学んでいます。
佐久総合病院の医療チームを含め、現地の大学生に会った人たちは、一言も聞き漏らさないと言わんばかりの強い眼差しに圧倒されるといいます。
医師になる前に必ず助産師と看護師の資格を取るそうで、日本では考えにくいことですが、これこそが島で現実に「命を守る」ために必要なことのでしょう。
目の前の命を救うためという切実な学びは、単に「なんとなく医者になりたい」というようなモチベーションとは比べものにならないくらい、真剣で、とても強いものなのではないかと思うのです。
これは医療分野に限らず、あらゆる学びについて言えることで、この「強い学び」を生み出す「触媒」がSGHなのではないかと思っています。
明日はいよいよセンター試験です。
昨年のSGHアソシエイト、今年のSGHの指定を受けて、2年間その影響を受けて来た今の3年生が、多少なりとも「強い学び」に目覚め、その中で日々の努力を積み重ね、きっちりと成果を出してくれるのではないかと期待しています。
日頃の成果を順当に出すことだけを考えて、がんばれ、上田高校生!